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長編BL小説『 モア・ザン・パラダイス 』の最終話を更新いたしました!

年始からご訪問と拍手本当にありがとうございます。年をまたいでしまいましたが、とうとう最終話をお届けいたします!!

というわけで、小説『 モア・ザン・パラダイス 』、の【最終話】のUPです。下記よりどうぞー♪
(PCでは<続きを読む>から)

最後もエロスです。あ、今日、成人の日だった(笑)。


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『 モア・ザン・パラダイス【第11話】 』


 宏和の体温を身体いっぱいに感じて、そうっと瞳を開く。一糸まとわずに眠ったのはいつ以来だろうか。思い出せないくらい、この熱が愛しい。
 後ろから抱き締められている感触を真幸は全身で受け止めながら、昨夜のことを思い返した。しがみつく腕が力を失うまで、彼の情熱をむさぼりとろけていた。細部の記憶はない。自分がこんなに快楽に貪欲になれるとは思わなかった。欲しいまま喘いで濡らした。
 ……セックス覚えたての男子みたいだ。
 昨夜の乱れ方を客観的に思うと、途端に恥ずかしくなった。宏和はそんな自分を抱いて心の中では引いていなかっただろうか。
 小さな気がかりが浮かんだと同時に、甘い刺激が滑った。感じやすくなっている肌が、ヒクッとふるえて眉を寄せる。
 触れている彼の指は変な動きをしていた。感じないように心を律そうとしても、胸元に辿り着いて乳首を探る。人差し指でクリクリとつぶされて、くちびるをきゅっとつぐんだ。
 弄られた身体は快楽を取り戻す。我慢して薄い呼吸をしていた真幸は、胸から腹を通り尻から指が前へ辿ると、さすがに口を開くことにした。
「宏和、起きてる?」
 明らかに意志を持った手が、真幸の大切なところに触れた。
「起きてるよ」
 すぐ後ろから聞こえた声は明瞭だった。快感でこわばる肩に、彼のくちびるがあたる。身体を少し浮かせた宏和に促されて真幸は仰向けになった。
 目があうと、おはようの挨拶より先にキスがはじまった。情を引き出すように舌を吸われて、朝の明るさも、今が何時であるかもどうでもよくなってくる。宏和に情愛の定義をつくりかえられていくみたいだ。
 ……朝から、えっちなことしてる、おれ。
 とてもドキドキして、変わっていくことが不思議と嬉しい。
「したいんだけど、……いい?」
 濡れたくちびるを離し、欲をはらむ瞳で訊いてくる。昨夜の続きをするのだろう。また同じように乱れてしまうかもしれない。真幸はそう思いながら照れ微笑んだ。
「うん。おれも、したい」
 今日の午後、宏和は先に本土へ帰っていく。ホテルを出るまで少なくなった時間、わずかでも心と肉体を繋げておきたいというのは、真幸も同じ気持ちだった。
 宏和が真幸の身体つきを覚えんばかりに細かくなぞる。くちびるや舌で質感を確かめる。
「ぅん……ン……あっ……ん」
 期待感と愛されている実感。息を吹きかけられるだけで、ゾクゾクする。
「マジ、真幸の触り心地たまんない」
 うっとりする声をもらす宏和に悦びが募る。自分の身体を好きだと思ったことはなかったが、真幸はこの身体で生まれてきてよかったと思えるほど嬉しかった。
 愛撫してくれる彼に触れる。少し寝癖のついていた髪、男らしい筋肉、弾力のある素肌。宏和のすべてをもっとよく知りたい。吐息をもらしながら、ゆっくり撫でる。
 ……もっと、好きになりたい。宏和のこと。
 弾力のあるものが肌に触れる。反り返る彼の雄の部分が下肢に当たっていると気づき、さらに愛しさが込み上げた。
 宏和も、真幸にすべてを受け入れてほしいようだ。舌先を皮膚から離した彼は枕の横にあったボトルへ手を伸ばした。ローションをなみなみとこぼして真幸の下肢に触れる。足を広げて彼を受け入れた。
 侵入してくる指は慎重で、昨日覚えたばかりの方法を忠実に模倣している。傷つけないようゆっくりやさしくほぐされて、真幸は安心すると彼にあわせて弛緩した。身体のこわばりがなくなると享受される刺激に心をゆだねた。二本の指で性感帯をすりすりと押されて、背がピンと張る。
「あっ……ぁあ……あっ……はっ」
 恥ずかしいけど気持ちいい。日差しを感じながらのスローセックス。朝に求め合えることに、心も身体も満たされる。
 両脚をぐいと広げられて挿入される。宏和のかたちを真幸は、はぁ、はぁ、と少し荒い息継ぎをしながら、綺麗に飲み込んだ。尻に男の肌が触れて、おさめきった幸福感できゅうと彼を締める。
 動かない宏和に視線を向けると、真剣な表情があった。自然光の中で全部見られている。
 羞恥に雄を咥えた肌が跳ねて、真幸は瞳を伏せた。
「どこ、触って欲しい?」
 静止した身体の上から降ってくる。
「ちゃんと教えてくれないと、触らないよ」
 シーツに両手をついた宏和が器用に腰を揺らした。一箇所だけ鉤のように繋ぎとめられて、どこも触れられないのは、真幸には辛かった。彼の撫でてくれる指が恋しい。けれど、言葉にするのは恥ずかしい。
 受け入れ口からじんじんと伝わる快楽に喉を鳴らして、真幸は野放しにしていた手を動かした。片手をそろそろと胸元へ這わせ、もう片方の手をそそり立った自身に向ける。
 触れると、乳首も弾力がついて勃っていた。宏和にされたように乳頭をさする。性器は指を筒状にして、根元から少し強くこすり上げた。
 自慰しているのを見られることははじめてで、恥ずかしかった。でも、気持ちよさに我慢できない指は乳首とペニスから離れない。
 今までの奥底に眠っていた性欲が、すべて表に出てしまった。羞恥心と開放感が、甘美な電流を呼ぶ。
「ンっ……あ、……っあ、ん、あっ」
 宏和がゆっくり出し入れするスピードと深さを変え、快感は倍になった。射精を望むように指の動きを速くすると、彼の指が重なる。自分の指より気持ちよくて、のけぞった。
「あっ、あっん!」
「気持ちいいって顔、してる。いい?」
「ん、いっ、いいっ、あっ、ぁん」
 射精感をギリギリまで高めるしごき方が続いて、腰がふるふると揺れる。けれど、吐き出すことは許されず、ぎゅっと包むように握られ、宏和が容赦ない打ちはじめた。
「ッんあ! あ、アッ! あっ、い、あッ、ぁあ!」
 強くゆすぶりながら、くちづけてくる。真幸の舌を舐め出すと、突くペースが落ちる。そして、またくちびるを離して激しい律動を繰り返す。
 彼が果てるまでの時間、真幸は翻弄されてビクビクとふるえていた。感じすぎて頭がおかしくなるようで、射精させてもらってからはしがみついて泣いていた。宏和は一度では済まさず、二度目も柔らかい真幸の中を貫いて精を撒いた。
 本当の快感を教え込まれた身体は、終わってからしばらく動けなかった。彼にどうにか支えられてバスルームに連れていかれ、そこでもイタズラされて、真幸は午前中から甘い疲労を身にまとうことになった。
 ……すごくよかった。すごく、びっくりするくらい感じた。
 昨夜みたいに激しく攻められるのもいいし、恥ずかしいくらい愛撫を尽くされてするセックスもたまらない。
 宏和に手を握られて誘導されるまま、用意をして地上へ降りる。エッチがよすぎてぼーっとした頭に、行き交う客は気にならない。ようやくエントランスの自動ドアが開いて、真幸は焦点を正面に向けた。
 潮風のにおい。突き刺すような太陽光線。そして、キラキラと輝くエメラルドグリーンの海。
 すべてが愛しく感じた。宏和が大切にしている故郷。握られた手をきゅっと握り返す。愛しい彼が振り向いて笑顔を向ける。しあわせ以外の何ものでもない。
 駐車場に着いて、宏和が後ろに荷物をおさめる。真幸は先に助手席に乗り込んだ。腰を落ちつけると受け入れた部分に違和感があらわれる。でも、嫌いな感覚ではない。愛し合った証拠だ。
「疲れた?」
 運転席を開けて座った彼に訊かれる。首を振ったけれど、付け加えた。
「朝にしたこと、なかったから」
 しかも、宏和のセックスは情熱的だ。思い出すだけで、身体の中がジンとしてくる。当の本人は、返答を聞いてニヤニヤしていた。
「真幸は、エロかった。すげえ、かわいかった」
 車という密室の中でも、ストレートな感想は恥ずかしかった。顔が真っ赤になるのを制することはできず、小さく口をとがらせる。
「ごはん、食べたい」
 セックスで体力を使いすぎてお腹が心底空いていた。宏和も自覚があるらしい。
「おうよ。いいとこ連れてく。その前に」
 そう言った彼が誰もいないのをフロントガラス越しに確認する。そして、助手席に身を乗り出すと軽いキスをしてきた。くちびるが触れあった跡を、つい指でなぞって真幸も外をきょろきょろ見てしまった。人はいないようだ。
「あのさ、」
「なに?」
 運転をはじめた宏和に、素朴な疑問をする。
「キス、好き?」
「うん。一番好き」
 即答だった。これからのことをふと思い、恥ずかしさが増す。
 ……おれもいろんなキスされたいけど。
「真幸はさ、触り心地いいとか言われない?」
 逆に彼の質問が来る。それには、首を傾げた。
「あんまり言われたことないかな。日常生活でそんな触られることもないから。でも、肌が綺麗って言われたことはある」
「確かに綺麗だ。きめ細かいってヤツなんだな」
「そうなのかな。女の子だったら褒め言葉なんだけど」
「男でも褒め言葉だよ。あんまり人に触らせんなよ」
 さりげなく独占欲を見せられて真幸の鼓動が跳ねる。そういうことを言われたのははじめてだから嬉しかった。
 ……強く好かれてる感覚って、こんな感じなんだなあ。
 新鮮な想いに満たされるまま、彼と一緒に食事を摂って、借りていた親戚へミニクーパーを返す。そこでも、親戚と談笑して「また宏和とおいでー」と言われ笑顔になった。宏和は隣で「来年も二人で来るから」と当然のように言い切った。断定されると、嬉しいを通り越して彼がかわいくみえてしまう。今回の旅行のために休暇を取るのはかなり骨を折ったが、来年もがんばらなきゃ、と思った。
 彼の滞在時間はあとわずか。モノレールに乗って、空港が近づいてくると寂しくなってくる。真幸は空港で見送って、またバスでリゾートホテルへ戻る。一瞬、一日早くチェックアウトして空港のそばのホテルに泊まることも考えたが、……それはやめることにした。
「明日まで日にち延ばせなくて、ごめん。なんか悔しいな」
 空港で航空券と受託荷物の手続きを終え、宏和が悩ましいような表情を見せた。真幸を一人で残すことに強い抵抗があるようだ。離れがたい状態になっている様子を見て、真幸は微笑んだ。
「おれも東京戻ったら、……すぐ会いたい」
「すぐ会うよ!」
 小声で返したが、彼は空間へ響くような大きさで答えてくれた。すぐ、しまった、という顔をして人影の少ないところへ歩を変える。
「あっちの空港着いたらすぐメールするし、電話する。真幸も戻ったらすぐ会おう?」
 必死な様子が、愛しい。
「連絡、待ってる。気をつけて帰ってよ」
 ありったけの想いを瞳に宿して伝えると、宏和に手を掴まれて奥へ連れて行かれた。観葉植物と公衆電話にふさがれた空港ビルの死角。そこで、ぎゅっと抱きしめられた。
「真幸のこと、好きなんだ。もっと知りたい。触りたい。こんな気持ち、久しぶりだよ。わーって好きになる感じ」
 わずかな日数で出逢ってしまった感情を、ありったけの想いで話す。彼の正直さに、真幸も背を回してきゅっと力を込める。
「おれも、あんまり人を好きになった経験ないけど……宏和のことは、なんかすごく不思議で、こんな出逢いもあるんだなって、」
 言葉が途切れて、自然と見つめあった。
「俺のこと、好き?」
 問われて、真幸は伝えていなかったことを思い出す。
「好きだよ。もっと、宏和のこと知りたい」
 すると、安心したような軽いくちづけがほどこされた。
「会おう。いっぱい時間つくろう。俺、がんばるから」
 笑顔で頷いて、そっと身体を離す。
 ……もう、大丈夫だ。これから、宏和と続いていく。
 死角から出て、談笑しながら搭乗審査場へ向かった。
 空港へ向かうときの寂しさは、もうなくなっていた。本土でも会う。たくさん一緒にいられる。献身的な宏和の言葉は嘘じゃない。連絡すると言うのだから、毎日本当に連絡してくるのだろう。
 ……おれには、毎日メールとか電話してくれるくらいがちょうどいいかも。
 搭乗ゲートへ移動していく宏和に手を振って見送る。そして、真幸は振り返ることなくバス乗り場へ歩き出した。
 ポケットに入れていたスマートフォン。躊躇いなく取り出した。
 この島を離れる前に、しなければならないことがある。
 ……ホテルに戻ってから、隆章とちゃんと話そう。あの海を見ながら。
 そう決めた真幸は、穏やかな笑みのまま、鮮やかな蒼の日差しの下で電源をつけた。

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Author:名嘉あいか


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